2008年 05月 24日
商店街再生のヒント |
神奈川県商店街連合会の新聞『かながわ商店街新聞』に提言を載せました。5月15日号です。発行済みなので、ちょっと長いですが、ここに全文を転載します。(by.f)
商店街再生のヒントは商店街の中にある
平成20年4月に神奈川県が加入促進条例を制定し、商店街の加入促進活動に関する条例化は42自治体に広がりました。
私はまちづくりのコンサルタントとして、横浜市、相模原市、東京都世田谷区の商店街加入促進活動のお手伝いをするとともに、私自身地元商店街の一員として商店街活動をしています。その中で、商店街の加入促進がどのように商店街の再生につながるのか、商店街という「まち」をつくる「まちづくり」の視点から考えてきました。
まちづくりではよく、「ハードとソフトの連携」と言いますが、商店街にはこの両面が必要です。
「ハード」とは何かといえば、商店街を見回した時に「目に見えるもの」です。例えば、道路、街路樹、ベンチ、街路灯、看板などです。
一方、商店街には「目に見えないもの」があります。例えば、気持ちよいサービス、賑わい、知り合いと出会える楽しさ、その商店街の独特の雰囲気などです。
これらは、お客さんや商店主の行動や心の動きがつくっていることで、まちづくりの「ソフト」です。
路上への商品のはみ出し禁止とか、同じ時期に売り出しをしようといった商売のルールを決めることもまちづくりの「ソフト」です。
商店街の再生には、この「ソフト」がとても重要です。ハード整備の背景としてそれを支えるソフトがなければ、よい商店街はできません。しかし、良いソフトをつくるためにはどうしたらよいのでしょうか。
ひとりひとりの商店主は強弱の違いはあっても、これからの商店街が「こうなったら良い」という「思い」を持っています。また商店街に来るお客さんも、ここに来るとほっとする、なじみの店で買い物をしたいなど、それぞれの「思い」を持って買い物をしています。
この「思い」はお互いに伝えなければ、理解し合えません。場合によっては自分でも、その「思い」に気づかないこともあります。そこで、商店主同士が、あるいは商店主とお客さんが仲良くなり、お互いが何を思っているのかを知り合う機会が必要となります。
今更何をあたりまえのことを言っている、と思われるかもしれませんが、今、商店街の再生に一番大切なことは、こうした「思い」とか「仲良くやろう」という、あたりまえのことを改めて強く認識していくことだと思います。
つまりこれが「コンセプト」であり「地域コミュニティの形成」です。横文字でいうともっともらしくなりますが、要はそういうことです。
個性的で元気な商店街は、「思い」に共通する要素があり、それがうまく形(ハード)に現れていることがわかります。また、商店主同士やお客さんとのコミュニケーションがとれています。
商店街は商店主の横のつながり(組織)と、目に見える変化を実感できる具体的な場所を持っています。それこそが商店街の強みです。組織と場所をうまく使うことでコンセプトを共有し、地域コミュニティを再生していくことができるのです。
加入促進活動は、そのためのひとつのきっかけづくりだと思います。加入促進の具体的な手法は、横浜市や相模原市の商店街連合会でマニュアルをつくっているのでそちらを参照してください。ここでは、商店街でコンセプトと地域コミュニティの形成を図るための方法をいくつか提案したいと思います。
1 日々の活動やイベントは仲良くなるためのきっかけづくり
商店街の活動やイベントは販促目的はもちろんですが、活動を通してお互いの「思い」を知り「仲良くなる」きっかけであると考え、人のつながりをつくります。仲良くなった人からたくさんのアイデアがもらえます。
2 商店街の歴史を掘り起こす
歴史といっても文化的要素や史跡のことではなく、○年前どんな商店街だったのか、どうやって今の商店街が出来てきたのか? という経緯を知ることです。新しい商店街にもそれなりの経緯や歴史があります。当時の写真やチラシを集めたり、昔の話を聞いたりしながら、その成り立ちをまとめてみます。
3 商店街の街歩き、街チェックをする
改めて自分たちの商店街を歩いて、見直して見ます。地域の人も巻き込んで、ワイワイ話しながら歩き、簡単な地図にまとめてみます。その中から新しい課題や発見が生まれます。
4 活動をもとに「将来イメージ」をつくりそれにむけて何かやってみる
商店街の少し将来(例えば5〜10年後)がどうなったら良いか、皆で話し合ってみます。現状の厳しい社会情勢では、ダメな要因、困難な条件ばかりに目がいってしまうかもしれませんが、商店街の良い面をみつけ、それをのばすイメージをつくり、その実現に向けて小さな事でも皆でできる一歩を決めてやってみます。
このような取り組みは、自分たちの足下を見つめ直すことにほかなりません。そこから、お客さんが商店街に何を求めているのか、これから何を「売る」のかが見えてくるのではないかと思います。商店街再生のヒントは商店街そのものの中にあるのです。
商店街は、その時代の必要性のもとに、多くの人が時間をかけてつくってきた場所です。地域資源としての商店街を、様々な人の意見を聞き、知恵を集め、次の時代に必要な場所として引き継いでいくことが、商店街の再生ではないかと思います。
商店街再生のヒントは商店街の中にある
平成20年4月に神奈川県が加入促進条例を制定し、商店街の加入促進活動に関する条例化は42自治体に広がりました。
私はまちづくりのコンサルタントとして、横浜市、相模原市、東京都世田谷区の商店街加入促進活動のお手伝いをするとともに、私自身地元商店街の一員として商店街活動をしています。その中で、商店街の加入促進がどのように商店街の再生につながるのか、商店街という「まち」をつくる「まちづくり」の視点から考えてきました。
まちづくりではよく、「ハードとソフトの連携」と言いますが、商店街にはこの両面が必要です。
「ハード」とは何かといえば、商店街を見回した時に「目に見えるもの」です。例えば、道路、街路樹、ベンチ、街路灯、看板などです。
一方、商店街には「目に見えないもの」があります。例えば、気持ちよいサービス、賑わい、知り合いと出会える楽しさ、その商店街の独特の雰囲気などです。
これらは、お客さんや商店主の行動や心の動きがつくっていることで、まちづくりの「ソフト」です。
路上への商品のはみ出し禁止とか、同じ時期に売り出しをしようといった商売のルールを決めることもまちづくりの「ソフト」です。
商店街の再生には、この「ソフト」がとても重要です。ハード整備の背景としてそれを支えるソフトがなければ、よい商店街はできません。しかし、良いソフトをつくるためにはどうしたらよいのでしょうか。
ひとりひとりの商店主は強弱の違いはあっても、これからの商店街が「こうなったら良い」という「思い」を持っています。また商店街に来るお客さんも、ここに来るとほっとする、なじみの店で買い物をしたいなど、それぞれの「思い」を持って買い物をしています。
この「思い」はお互いに伝えなければ、理解し合えません。場合によっては自分でも、その「思い」に気づかないこともあります。そこで、商店主同士が、あるいは商店主とお客さんが仲良くなり、お互いが何を思っているのかを知り合う機会が必要となります。
今更何をあたりまえのことを言っている、と思われるかもしれませんが、今、商店街の再生に一番大切なことは、こうした「思い」とか「仲良くやろう」という、あたりまえのことを改めて強く認識していくことだと思います。
つまりこれが「コンセプト」であり「地域コミュニティの形成」です。横文字でいうともっともらしくなりますが、要はそういうことです。
個性的で元気な商店街は、「思い」に共通する要素があり、それがうまく形(ハード)に現れていることがわかります。また、商店主同士やお客さんとのコミュニケーションがとれています。
商店街は商店主の横のつながり(組織)と、目に見える変化を実感できる具体的な場所を持っています。それこそが商店街の強みです。組織と場所をうまく使うことでコンセプトを共有し、地域コミュニティを再生していくことができるのです。
加入促進活動は、そのためのひとつのきっかけづくりだと思います。加入促進の具体的な手法は、横浜市や相模原市の商店街連合会でマニュアルをつくっているのでそちらを参照してください。ここでは、商店街でコンセプトと地域コミュニティの形成を図るための方法をいくつか提案したいと思います。
1 日々の活動やイベントは仲良くなるためのきっかけづくり
商店街の活動やイベントは販促目的はもちろんですが、活動を通してお互いの「思い」を知り「仲良くなる」きっかけであると考え、人のつながりをつくります。仲良くなった人からたくさんのアイデアがもらえます。
2 商店街の歴史を掘り起こす
歴史といっても文化的要素や史跡のことではなく、○年前どんな商店街だったのか、どうやって今の商店街が出来てきたのか? という経緯を知ることです。新しい商店街にもそれなりの経緯や歴史があります。当時の写真やチラシを集めたり、昔の話を聞いたりしながら、その成り立ちをまとめてみます。
3 商店街の街歩き、街チェックをする
改めて自分たちの商店街を歩いて、見直して見ます。地域の人も巻き込んで、ワイワイ話しながら歩き、簡単な地図にまとめてみます。その中から新しい課題や発見が生まれます。
4 活動をもとに「将来イメージ」をつくりそれにむけて何かやってみる
商店街の少し将来(例えば5〜10年後)がどうなったら良いか、皆で話し合ってみます。現状の厳しい社会情勢では、ダメな要因、困難な条件ばかりに目がいってしまうかもしれませんが、商店街の良い面をみつけ、それをのばすイメージをつくり、その実現に向けて小さな事でも皆でできる一歩を決めてやってみます。
このような取り組みは、自分たちの足下を見つめ直すことにほかなりません。そこから、お客さんが商店街に何を求めているのか、これから何を「売る」のかが見えてくるのではないかと思います。商店街再生のヒントは商店街そのものの中にあるのです。
商店街は、その時代の必要性のもとに、多くの人が時間をかけてつくってきた場所です。地域資源としての商店街を、様々な人の意見を聞き、知恵を集め、次の時代に必要な場所として引き継いでいくことが、商店街の再生ではないかと思います。
by phoosuken
| 2008-05-24 09:50
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